◆ 官吏組織
   卿伯  上大夫 中大夫 下大夫 上士 中士 下士
太公――女王の夫
王后――王妃
太子――王の息子
公主――王の娘
宰輔(台輔たいほ)――王の補佐、相談役。首都州候兼務。
  三公――宰輔の補佐。王への助言や諫言、教育。政治には参与できない。 太保、太傳、太師
  三孤さんこ――三公の補佐、次官。
冢宰ちょうさい――六官を取りまとめる。

大司空だいしくう――冬官長。造作を司る。武器を用意。
  小司空――次官。
  技師――新しい技術を探す。
玄師――呪具の造作。
匠師――物品の造作。
  羅人らじん――陶鵲を作る工匠。
木人ぼくじんし――香油を作る工匠。
櫛人しつじん
将作しょうさく
大司寇だいしこう――秋官長。法令を司る。外交。
 
小司寇――次官。
  朝士ちょうし――警務法務を司る。特に諸官(朝外の官や州候も含む)の行状を監督。その処罰の奏上ができる唯一の官。
司法しほう――裁判を主催。
  司刑しけい――裁判を司る。典刑、司刺との合議の上で最終的に決を下す。
典刑てんけい――罪人の罪を明らかにし、刑法に沿い罰を引き当てる。
司刺しし――三赦、三宥、三刺の法を掌り、罪人に罪を赦すべき事情があれば申告して減免を申し立てる。
司隷しれい
  掌戮しょうりく――罪人に刑罰を科す。
掌囚しょうしゅう――罪人を監督する。
大司馬だいしば――夏官長。軍事を司る。
  小司馬――次官。
  射人しゃじん――王や貴人の身辺警護長官。
  司右しゆう――王の警護。軍兵の管理。
  大僕だいぼく――王の身辺警護の長。主に内宮。
  小臣しょうしん――王の身辺警護。
虎賁氏こふんし――公の場での王の身辺警護。
太衛たいえい
  司士しし
  射鳥氏せきちょうし――射儀を企図し掌る。
  羅氏らし――射儀で的にする陶鵲を誂える。
掌固しょうこ
  山師さんし――山野の保全を掌る。人の手の届かぬ山や林を管轄し、地勢を把握し、営繕を行い災害に備える。
禁軍将軍――朝議にも参加して政治の一端を担う。
大宗伯だいそうはく――春官長。礼典・祭祀を司る。学制。
  小宗伯――次官。
  大卜
  二声氏にせいし――白雉の世話。
鶏人けいじん――祭祀用の雉の世話。
内史ないし
  御史ぎょし
大師だいし――音楽士の長。
  楽士がくし
馮相氏ひょうそうし――暦を作る。天文の具合を見て月日を割り出し、節気や吉凶を計算予測し決める。
大司徒だいしと――地官長。土地・戸籍を司る。
  小司徒――次官。
  遂人すいじん―――人地を整える。治水工事など。
  田猟でんりょう――人民を管理し、納税のための台帳を整備。
少府
  部丞
  果丞かじょう――各地が産する珍しい物品を管轄。
  迹人せきじん――野木に生ずる新しい草木や鳥獣を収集。
太宰たいさい――天官長。宮中の諸事を司る。
  小宰――次官。
  内宰ないさい――内宮を司る。
  内小臣ないしょうしん――王と宰輔の身辺の世話を取り仕切る。
こん人こんじん――門の傍に控え通行する者を記録、身元を検め取次。
大行人だいこうじん――客を迎え案内。
司裘しきゅう――宝飾品の管理。
掌舎しょうしゃ――宮中の建物の管理。
宮卿きゅうけい――王宮の制令を掌る。
  宮卿補――補佐官。
州候しゅうこう――州の統治。

令尹れいいん――州宰。州候補佐、州六官を束ねる。 ※補佐及び監視役として国から6人の官僚(三公及び三孤?)が下される
  州司空
州司寇
州司馬
    射士しゃし――州候の身辺警護長官。
州師将軍
州宗伯
州司徒
  少司徒――補佐官。
  少府
牧伯ぼくばく――州候の監督。
  刺史しし――派遣されて郷府、県府の監督。県正と同格。
―その他―
女御にょご――王の身辺を整える女官。 ※内小臣の下?
女史じょし――王の側仕えの書記官。執務の手助けをする最下級の文官。 ※天官?
史書ししょ――書記官。 ※天官?
げじょ――王宮で働く下僕。仙籍もなし。
げなん――王宮で働く下僕。仙籍もなし。
傳相ふしょう――養育係。私生活の諸事から政務に至る全ての面倒、兼教師役。
門卒もんそつ――宮廷内各宮の門殿の警備。 ※夏官
軍吏ぐんり――軍の文官。 ※夏官
士師しし――犯罪者を取り締まる。 ※夏官
司会しかい――親書の草案を作るなど。 ※天官?
黄医こうい――麒麟の主治医。 ※天官?
保章氏ほしょうし――国府で作られたものに注を補い、郡の暦を作る。 ※郡春官
候気こうき――保章氏の部下。 ※郡春官
候風こうふう――保章氏の部下。 ※郡春官
掌暦しょうれき――保章氏の部下。 ※郡春官
官位
  
王に仕えない仙
12 神籍 
11王の近親者
三公
冢宰
州候
飛仙飛仙
10
9仙伯(自力昇仙の飛仙)
8卿伯国官地仙王勅免の飛仙
7飛仙に仕える下仙
6上大夫
5中大夫
4下大夫
3上士
2中士
1下士
 下官 

◆ 地方行政
単位
9州数郡
4郷5県 5党4族5里3廬と
1里家
州候太守
たいしゅ
郷長 県正
けんせい
里宰
※州により数が違う
里宰りさい――里府を司る。里祠の祭主を兼務。
閭胥ちょうろう――里宰の相談役。里の最長老。小学の教師と里家の世話役を兼務。

◆ 土地のしくみ(給田と税制)
給田
きゅうでん
20歳になれば国から土地をもらい自立。一夫、百畝、百歩四方。 (農閑期の正月に一斉におこなわれるので数え年で数える)
井田法に基づき8家で1廬を形成する。(構造図絵参照)
・農民以外の商売をする人は土地を売る。
・土地をたくさん買って小作人を雇う者もいる。
・結婚し相手の籍に入れば同じ里に土地を移してもらえる。(空いていれば)
・土地家屋は子供に受け継がせられない。60歳で国に返し里家へ入る。 貯えた財は伴侶には残せるが、その伴侶が死ねば国に帰す。
 
―考察―
・国から与えられた地―公地こうちに対して、許可をもらい開墾した地―自地じちという言葉があるので土地を増やすことは可能?
・土地の売り買いが出来るようなのに、給田された土地以外へ移るには結婚しないとダメ?  売る分にはいいが買う方は給田された土地を持っていることが条件か?
・60歳になっても望めば返さなくてもいい。しかし税がかかるので働ける間は…という事か?
・財産は子供に残せないが、実際は生前に報償という形で贈与している模様。
・1家は2人だが、結婚前は1家分の土地を貰えないのか? それとも結婚したら片方の土地を返すのか?  結婚は子供が前提なので、その分と考えて2人で2家分所有するのか? それとも1家2人は大人のみの数?
土地の収穫・収入に対して何割…など国に納める。(国によって違う。1割が普通?)
土地の収穫・収入に対して何割…など州に納める。(州によって違う。国によって何賦までと定められる)
・首都州の土地は基本的に国官への報償として割与される。(つまり首都州候―台輔の元に入らない)  国官には給金はなく、与えられた封領からの租税から国への上納分を引いた残りが給金がわり。  封領は最小で里、最大で県。上納は半分、これに人頭税(賦)がつく。  封領の官府の長官は領主が任免でき、賦は定められた範囲内で勝手に徴収できる。
・割与されなかった残りの土地は首都州候―台輔の領地(黄領)となる。
・州都郡の土地も同様に州官へ。
凌雲山 王の所有物である禁苑。王や諸侯の居宮、苑、離宮、陵墓など。
 歩(長さ)歩(面積) 人の歩幅その他
1寸―指幅1本幅分
1尺―10寸
1丈―人の背丈程
1升―両手一掬い分

100畝100歩×100歩100歩四方
(10000歩)

(長さ)
2き

ぼう
1歩×100歩
(100歩)

(長さ)
300歩

1歩×1歩1歩四方
(1歩)
※長さも面積も歩という単位を使うのが分りづらい点
1歩=135cm(六太証言)

せい
900畝300歩×300歩1里四方
(90000歩)

◆ 軍組織
王師――――王が直接指揮する軍。禁軍と首都州師を合わせた六師
禁軍――――3軍、通常黒備
首都州師――3軍、通常黒備
州師――――州候に委ねられ各地に配置。
州の大きさによって2〜4軍、通常黄備
2軍―左軍・右軍
3軍―左軍・中軍・右軍
4軍―左軍・中軍・右軍・佐軍 (佐軍は通常青備)
3軍の筆頭は左軍
空行師―飛行騎獣の部隊
単位
数師 ※5旅5卒 4両5伍5兵
将軍師帥旅帥りょすい 卒長両司馬伍長
※黒備―5師(12500兵)
 白備―4師(10000兵)
 黄備―3師(7500兵)
 青備―1師(2500兵)
 
軍の仕事
警邏・犯罪者の取締り、公の土木事業、王宮や都市の警護
兵卒は1年の訓練後配属

◆ 学校制度
大学少学
しょうがく
上庠
じょうしょう
庠学
ようがく
序学
じょがく
  小学
出れば高位の国官 上士に選ばれた者が大学受験
出れば官吏
選士に選ばれた者が少学へ 推挙で上庠へ     
※上士じょうし、選士せんし
松塾しょうじゅく
慶・麦州支松にあった義塾。道を教える。
少塾しょうじゅく
受験のための塾。雁では選士になれば塾費を国が補ってくれる。公立少塾がある。
 
―小学―
・満5歳から。特に卒業はなく大人でも通える。春から秋は閉鎖。
 
―大学―
・国府内にある。大学の府第、図書府、学寮など。教師や府吏と過半数の学生が住む。
・定められた教科それぞれの教師から允許いんきょを全部貰えないと卒業できない。 3年間ひとつも允許を貰えなければ除籍。必須科目―弓射(儀礼の際に行われる礼節の一)、馬術 他
・入学・卒業共に年齢は関係なく20〜40代まで100〜300の学生。
・出れば無条件で官吏―国官でかなりの地位へ登用。
・受験するには少学の学頭の推挙かそれに匹敵する人物の推挙が必要。

◆ 旌券せいけん
国を離れる時に所属する里の府第でもらう身分保証書。
木の札、札と戸籍とを同時に3箇所小刀で突き、照会があった時は傷を照合して確認。 表に本人の姓名、裏に発行された役所の名。 ※裏には身元保証人の名が記されることもある
・土地も家も離れて7年経てば客死したとみなされ効力はなくなるが、 旌券があれば戻って再給付も可能、府第への保護も求められる。
・定住せず諸国を巡って芸をしたり物を売り買いする浮民は朱線が入れられる。  ※このため朱民と呼ばれる
・家生や猟尸師の徒弟などは売られた時に逃げないと誓うために旌券を割る。  ※このため彼らを割旌かっせいとも呼ぶ

◆ 界身かいしん
銀行、国を越えた界身の組織を座と言う
 
烙款らっかん――界身が発行する保証の印。
部外者には読めない独自の文字で発行した界身と限度額が示されている。 座に参加している界身から金銭を受取れる。

◆ 裁判と刑罰のしくみ
罪を裁き訴訟を裁く獄訟ほうていは県以上の行政府に置かれている。
※五刑と呼ばれる重罪を裁くことのできる刑獄は郡以上の行政府にしかない
秋官司法の下で、司刑、典刑、司刺が合議をもって論断し、最終的に司刑が決を下す。
・典刑――罪人の罪を明らかにし、刑辟けいほうに沿って刑察する(罰を引き当てる)。
・司刺――三赦、三宥、三刺の法を掌り、罪人に罪を赦すべき事情があればそれを申告して罪の減免を申し立てる。
三赦、三宥、三刺の法――罪人に罪を赦すべき事情による罪の減免
三赦罪を赦すべき三者。七歳以下の幼弱、八十歳以上の老耄、判断能力を欠く庸愚。
三宥不識、過失、遺忘いぼうの三。 不識とは罪になることを知らなかったこと、結果として罪に至ることを了解していなかったこと。過失は過ち。遺忘は失念していたこと。
三刺群臣に問い、郡吏に問い、万民に問うこと。罪を赦すべきだという声があれば、これをもって罪の減免を申し立てる。
―刑罰―
徒刑ちょうえき懲罰であると同時に、犯罪者に罪を自覚させ教化する。 刑徒しゅうじんは圜土かんごくにおいて公のため土木工事などの労働に就く(所在は一定せず必要な場所に移動)
※未だ刑罰の定まらない罪人や拘制きんこに処された罪人は軍営内にある囹圄ろうやに収監
五刑殺罪などの大罪に対して用いられる五つの刑罰。 黥げい、ぎ(鼻にりっとう)、げつ(月にりっとう)、宮きゅう、大辟たいへきを言う。
※黥は顔に刺青、ぎは鼻を削ぎ落とす、げつは足を斬り落とす、宮は生殖器を除く、大辟は殺刑しけい
※柳国では百年以上に亘り殺刑は停止されている
凌遅罪人を寸刻みにする刑罰
黥面げいめん
刑罰としての刺青、四文字を図案化した小さな刺青。
・殺罪などの重罪を犯した犯罪者は、髪を剃られ、頭に刺青を施される(10年ほどで次第に消える)
・消えないうちに再び重罪を犯したとき、頭に2つ目の刺青
・さらに重罪を犯せば、今度は右の蟀谷に墨を入れ、4度目は左の蟀谷、以後、右目の下、左目の下と場所が決まっている
・黥面4度に及べば全ての刺青が消えるまでの徒刑、あるいは拘刑に処せられる(これを刑尽と言う)
・文字を見れば、どこで裁かれた何者なのかが分かる
―例―「均大日尹」
「均」は均州において裁かれたことを示す
「大」は年
「日」は徒刑に服した圜土を示す
「尹いん」はその者に当てられた文字
沮墨そぼくは、最初こそ黒々としているが次第に色を薄めていく。
黒から藍へ、藍から青へと薄まっていき、青から紫、薄赤を経て十年ほどでほぼ見えなくなる。
まだ消えないうちに次の墨が入れられると、消えるまでの期間が延びていく。黥面四度ともなれば最低でも三十年は消えない。
※奏国で廃止されて以来、他国でも廃止が趨勢。柳も廃止されていたが現王が復活。

◆ 半獣・海客・山客・浮民・荒民の扱い
半獣
・一番扱いが悪いのは巧で戸籍も与えられず給田もなし、少学以上に入れず官吏にもなれず、半獣を雇った方にも税が課せられる
・少学以上に入れず官吏になれないのが芳
・大学へ入れず官吏になれないのが舜
海客
山客
ほとんどの国で浮民扱い。 浮民以下で捕らえられるのは巧。 高待遇なのは奏、雁、漣。
浮民
荒民
ほとんどの国で少学以上に入れず官吏になれない。 荒民救済の処置を積極的にとっているのは安定している奏、雁。

◆ 旗や印章、印の類
―旗印―
王旗――黒地に飛翔する昇龍、昇る日月星辰、新王即位の意。
龍旗――飛龍、新王が選定された意、王の印で紫の軍旗と合わせて禁軍の印ともなる。
麒麟旗―蓬山に麒麟あり王の選定に入るの意、黄旗とも言う。 蓬山からの知らせを受けた生国で各祠にあげられる。
?―――黒地に黄色の枝、3つの実、蛇が巻きつく。王の即位式の祝賀する意。
白旗――凶事の際に掲げる。
※芳国恵州州師の旗―真紅に星辰と2頭の虎
―印章―
章―――12で最高位の王。
小章――7で州師将軍。
綬―――三指ほどの幅に作られた組紐、所属する地位によって長さと色が変わる。
―その他―
・慶事には黒、凶事には白を用いる。
・州候の鎧には星辰の徽章。

◆ その他 政や行事など
朝議
ちょうぎ
高官たちが外殿に入り整列、銅鑼を合図に玉座の御簾が下ろされ、官吏が平伏。 王が玉座へ上り、再度銅鑼が鳴って御簾が上がる。 太宰の号令で顔を上げる、太宰の号令で三叩の礼さんこうのれい。 冢宰が立ち議事を読み上げる。
初勅
しょちょく
新王が始めて発布する勅令、王がこれからどういう国を作るかを示す。
郊祀
こうし
冬至の祭り、王が自ら郊外へ赴き天を祀って国家の鎮護を願う。 祭礼のうち最も要のもの。
国鎮めの儀式王が行う、妖魔が現れなくなる。
射儀祝い事や賓客のための祭礼に際し、弓を射る儀式。鳥に見立てた陶製の的を投げ上げ射る。 古くは実際に鳥を射た。射落とした数だけ鳥を王宮の庭に放すようになった。
大射たいしゃ――国家の重大な祭祀吉礼に際して催される射儀。 射損じることは不吉とされ、矢は必ず当たらねばならない。
燕射えんしゃ――宴席で催される射儀。単純に矢が当たった陶鵲の数を競って喜ぶ。
秋官の仕事
・交わされる契約の証人、覚書の立会人になり証書に署名と朱印

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